ヴォーカル科/呼吸発声科/村尾陸男のレッスン

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1—ヴォーカル科村尾陸男のレッスン

ジャズであれほかのジャンルであれ、ヴォーカルレッスンというものはとても難しいです。捉えどころがないのが一番難しい点です。どんなインチキ先生もまかり通る、いわばそんなジャンル、場所ですね。このあいだピアニストでもギターリストでもない英語もまったくわからないあるバンドマンの先生が、しかも歌も歌えないのに、ギター片手に歌を教えているという話を、生徒の一人から聞きました。いや、すごいです。

 

基礎的な技術以外は、なかなか教えるのが厄介ですね。歌はとくに感性が占める部分が大きいですから、そこらへんがとくに難しいです。

さて、歌うには、まず呼吸が腹式呼吸で、発声がある程度いいということが第一になります。腹式呼吸発声ができていない人の場合は、最初の時期にそれらの習得に時間をさきます。呼吸発声—1

クラシックの上級になると高度なスケイルを楽器みたいに見事に歌わなければなりませんが、それは専門的なテクノロジーの一つで、ここでは除外しましょう。でも最低限度基本的なスケイルやメロディ、ピッチ、リズムなど音楽的基礎の技術はやります。歌唱の基礎—2

ジャズを歌う場合は英語の勉強が不可欠です。歌詞の勉強は付随して僕がやっている「英詩解釈講座」で補っていきます。また教室ファーラウトでは、アメリカ人講師による英語レッスンも別途受けられます。最低限度の英語チェックは歌のレッスンのなかでもやっていきます。英語発音と解釈—3

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ピアノを弾けることは歌の勉強の中でとても重要です。コードやメロディ、リズムを把握する上でこれ以上のものはありません。しかしピアノをピアニストのように弾くことは無理かもしれません。ですから自分の歌の練習の支えとなる程度にはピアノを弾けるようになりたいです。これはできればですが、ピアノをある程度弾けるようになるための手助けをします。ピアノ—4

歌をうたう練習だけをやりたい方はそういうレッスンにしますが、上の1-4をしっかりとやりたい方は、50-55分くらいのレッスンのうち40分くらいでこれらをやって、最後の10-15分で歌の練習をします。この曲をやりたいという希望があればそれをやります。教室ファーラウトの生徒になれば、歌の練習はまだほかにも「生徒の日」や「アンサンブル講座」から、月6回ほどのクラブファーラウトのジャム・セッションの日を利用してやることもできます。歌唱練習—5

村尾陸男のヴォーカルレッスンは以上1-5の内容でやっていきます。原則として50-55分レッスンを月3回(4回にすることも可能)、月謝などは教室ファーラウトの規定に準じます。体験レッスンは30分で無料です。どうぞ奮ってご応募ください。

歌は老いることはありません。歌が古ぼけて老いる、退屈なものになるとしたら、その歌う人が老いたから歌も老いたんでしょう。いい歌なら、そのなかに老いも成熟として表現されるはずです。では歌に若さはうまく表現できるでしょうか? これがなかなか表現されえません。たいていは未熟さとか幼稚さとしか表現されません。歌のなかに若さが見事に表現されたとしたら、それはその歌い手が本当に老いも成熟も未熟さ幼稚さ若さも感じることができる歌い手なんでしょう。歌は人間性のすべてを表現しているものだからです。ですから本当にいい歌が歌えるとしたら、その人の魅力がすべて開花したことを意味しますね。まさにそれは喜びです。

教室ファーラウト    村尾陸男

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2–呼吸発声レッスン

いい発声を目ざすには腹式呼吸が必須です。腹式呼吸は本来は生得的にからだに存しているものなので、そのまま育った場合は呼吸をとくに勉強する必要はないです。しかし生れてから数ヶ月で、環境(とくに母親、父親など)の影響で、できない人はできなくなり始めます。腹式呼吸ができなくなっていく過程は、おもに生後3、4ヶ月の喉頭が下降し始める時期から十代後半までの期間で進んでいきますが、その進み方も人によってまちまちでみな違います。

あっという間に小学校低学年くらいで最悪の胸式呼吸になってしまう(小児喘息などにかかる)人、成人にかけてゆっくりとなっていく人、いろいろです。また20代過ぎてから胸式呼吸になっていく場合も、ないとは言えないです。それから一生のあいだ腹式呼吸と胸式呼吸を行ったり来たりする人もいます。胸式呼吸になる多くの人が、気がつくと胸式呼吸で生活しているわけですが、大抵の人はそれに気づきもしません。

喘息や潰瘍、結核などは、胸式呼吸と密接な関係をもっていて、はっきり言ってその害は恐ろしいです。逆流性食道炎や胃下垂も胸式呼吸と横隔膜が動かないことが原因していると考えられますし、リュウマチや痛風などの神経病も同じ事が原因していると思います。ふつう躁鬱病と呼ばれる自律神経失調も、やはり横隔膜が動かないことからくる典型的な病気です。横隔膜は呼吸のほかに内蔵と神経の管理という重大な仕事をしていますから、そういう病気にかかりやすくなってきます。

日本人にはどういうわけか腹式呼吸ができなくなる人が多く、国民の7、8割くらいに達すると思われます。欧米では反対に8割くらいの人が腹式呼吸で生活しています。これは言語や思考や生活全体の価値観など文化全体が作っている問題です。ですからこれは日本人にとって大変大きな問題ですが、日本ではほとんど誰もそのことに関心をもっていません。困ったことですね。

進化の歴史のなかで、厳密な意味で腹式呼吸ができるようになったのは、横隔膜ができてきた哺乳類からですが、人間が立ち上がって二足歩行を始めたときから、負担が軽くなった上半身のとくに胸の周囲の筋肉が呼吸に口を出し始め、他の哺乳類にはない胸式呼吸の可能性を背負いこんだと言えます。

だいたいがこういった腹式呼吸に関する資料はなく、またそういう事情から、日本では一般に腹式呼吸への理解が非常に乏しく、巷には腹式呼吸ができない先生が呼吸や発声を教えている場合も少なくありません。また国民の7、8割くらいができないということは、医者も、政治家も、教育者もやはり7、8割くらいができず、結局、呼吸への理解や勉強もまたその理論も一切が成立しません。

レッスンの最初のうちは腹式呼吸の理解に重きを置いて進めていき、そこからからだの柔軟や、動かし方などの必要なことを勉強して、徐々に本格的な練習、訓練に入っていきます。発声練習もしますが、主に腹式呼吸修得のためのもので声楽のための発声ではありません。腹式呼吸ができれば発声のための条件の90から95%はもうできたことになり、それ以外にあまり余分なことはいりません。レッスンの大部分は腹式呼吸習得にかけ、できてきたら発声訓練に焦点を移していき、最終的にはスケイルなど音楽的な練習をします。

しかし胸式呼吸の人が訓練によって腹式呼吸への移行に成功する確率は非常に低いです。そして年齢とともに、成功率はさらに下がっていきます。腹式呼吸は、発声に重要なだけでなくからだの健康の最大の源です。自律神経失調の95%以上は腹式呼吸ができないことからきています。従って精神的な健康にも大きく影響します。ただし仮に最終的に腹式呼吸に移行しなくても、この訓練は胸式呼吸の人の健康に大きく寄与しますから、その意味では胸式呼吸の人に絶対必要な訓練と言っていいでしょう。

4月現在で、僕の腹式呼吸レッスンを受けている生徒は3名で、ヴォーカルの生徒は4名です。ヴォーカルの生徒で腹式呼吸ができない人には、それがあまりひどいと説明し注意しますが、腹式呼吸訓練をすぐにやれとは僕は言いません。だいたい本人がそう希望するまで待ちます。それは、腹式呼吸訓練にはかなりしっかりした自覚が必要で、無理やり進めてもいい結果につながりません。呼吸訓練は非常に大切ですが、教わる方の努力が教える方のそれよりもはるかに多く要求される、そんなレッスンです。無料体験レッスンは30分で、入学後のレッスン代は教室ファーラウトの通常の規定に準じます。

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3—腹式呼吸理論講座

たいていの呼吸解説書などや、最近では西洋のインターネットサイトでも、丹田呼吸やヨガなどの東洋の宗教で良しとされる呼吸は「腹式呼吸とは違う」と論じられています。しかしそれは間違いで、腹式呼吸はただ一つしかなく、人間にとって唯一無二のものです。それぞれの流派や思潮などを強調したいばかりに、ほかのものとは違うと言いたいのでしょうが、こういう主張が撒き散らす弊害は大きいです。

地球上の生物の進化の結果として哺乳類が出現し、そのときから呼吸に特化した筋肉の横隔膜が授けられました。四つ足歩走行する哺乳類はほぼ百%腹式呼吸です。これは特殊な奇形を除いて哺乳類のすべてが毎日普通にやっている呼吸ですが、人間が進化して二足歩行するようになり、そのときから腹式呼吸ができないものが出てきたと考えられます。それも現代になって腹式呼吸ができない人間は急速に増えてきていると思います。

丹田呼吸やヨガで言う理想の呼吸もやはり腹式呼吸で、まったく同じものです。東洋でも西洋でも腹式呼吸は正確に理解されていませんし、「これこれの呼吸は腹式呼吸とは違う」などと邪説が堂々とまかり通っているのが現実です。また横隔膜呼吸、丹田呼吸ほか呼び名も多くありますが、すべて同じで、腹筋と横隔膜による腹式呼吸で、ほかにありません。

これは全6回シリーズで腹式呼吸の理論について解説する講座です。レッスンではなく完全に理論を勉強する講座です。1-腹式呼吸の理論、2-腹式呼吸の訓練と実践、3-非腹式呼吸の(実際に活躍しているまたはしていた有名な)歌手の歌について調べ、歌唱の面から見た腹式呼吸と非腹式呼吸の違いについて考えます。4は非腹式呼吸の(同じく実際に活躍しているまたはしていた)管楽器吹奏家について見ていき、CDやDVDなどから非腹式呼吸の吹奏への影響について見ます。5は腹式呼吸と非腹式呼吸の文化的問題、人間と呼吸との関わりについて考察します。6ではやはり人間と呼吸との関わりについてですが、進化の面から見た呼吸を鳥瞰し、全6回で終了となります。

腹式呼吸を習得したいと思う生徒だけでなく、歌唱で発声を教えたりヨガや整体などで呼吸を教えたりしている人たちに、積極的に参加受講してもらいたい講座です。体験レッスンはありません。講座は不定期で、申し込みが3人以上になったときに開講し、教室ファーラウト生徒は講座券+1000円で、そうでない一般の方は一回3000円で参加できます。時間はあいだに5分ほどの休憩を入れて計120分です。どうぞ奮ってご応募ください。