5/25サイラス・チェスナトがブルースとビーバプをスウィングさせる!

サイラス・チェスナトがブルースとビーバプをスウィングさせる!
Swinging Blues & Bebop at Farout on 5/25
Cyrus Chestnut SOLO & DUO with Kengo Nakamura

現在予約状況、1st4名、2nd4名です。

通し8000円、片方のみ4500円
前売券購入または振込にてそれぞれ7000円、4000円に。
予約は電話(045-261-5635)かHP予約欄からください。
eメイルは届かない場合が増えていますので。
サイラス・チェスナト(p)
中村健吾(b)
5/25ファーラウトにて
1st:7-8pm  2nd:9-10pm

Cyrus Chestnut(p)サイラス・チェスナト–1963/1/17メリーランド州ボルティモア生まれ。バークリー音楽院でジャズの作曲と編曲を専攻。卒業後そのままプロ入り。ニューヨークで注目を集めるピアニスト。映画Kansas Cityではその巨漢ぶりをかわれてカウント・ベイスィ役で出演した。巨体を揺らしながら鍵盤を縦横無尽に弾きこなす圧倒的なテクニークと繊細なタッチ、聴き手を楽しませるユーモアとサービス精神溢れる演奏は必聴に値する。1990年に始まった富士通Concord Jazz 100ゴウルドフィンガーズコンサートでレギュラー出演。JAZZ ELITE 2002ではピアノ・トリオで好評を博した。今回はブルース、ビーバプそしてゴスペルでお楽しみください。

中村健吾(b)Kengo Nakamura–大阪市出身、1991年、バークリー音楽大学卒業後、ニューヨークへ移る。1997年、ウイントン・マルサリスが音楽監督を務めるリンカーンセンター・ジャズ・オーケストラに参加。マルサリス・カルテトのメンバーとして、クリントン前大統領主催のプレジデント・サミットで演奏する。1998年サイラス・チェスナト・トリオに加入。2000年渡辺貞夫カルテト・ツアーに参加。2001年小曽根真プロデュースのデビュー・アルバム[Divine](Verve) を発表。グラミー賞にノミネイトされたマルサリスのアルバム[Live at the House of Tribes](Blue Note) では、クインテトのメンバーとしてライブ・レコーディングに参加。小曽根真率いるビグバンド[No Name Horses]のメンバー。2012年10月、7枚目のアルバム[Songs in My Life Time](55 Records) をリリース。

4/29日音楽理論講座、30日英詩解釈講座、5〜6:30pm!

今月の講座
 
4/29日  5pm(90分)  音楽理論講座
音楽理論について勉強します。どの楽器にも共通の音楽理論ですから、どなたでも参加してください。ただし理論は初中上級と大きく変わりますから、来てくれた方に合わせて、テーマを決めてやります。仮に初級でも上級の人にも参考になる内容にしてやりますから、皆さんの勉強になると思います。
—–生徒1500円、一般1800円です。講師-村尾陸男(こちらは講師が変わる時があります)
14884620.thm_
4/30日  5pm(90分)  英詩解釈講座
 
わからないもの、解釈したいものがあったら、音源や歌詞を持ってきてください。参加人数が多くても、一人1曲くらいはリクエストに答えられると思います。
—–生徒1500円、一般1800円です。講師-村尾陸男

wit971209bwn_tns

[For all we know] の訳について

あるサイトに載っていたんですが、For all we know に「惹かれ合っているけれど」と充てているけれど、これは普通なら「私たちが知り合い理解しあっているにもかかわらず」という意味ですね。一目瞭然です。「これほど知り合い理解し合っているのに」あるときは人間は別れなくてはならないような、そんな運命もある、という感じがこもってますね。なぜ「知る、理解し合う」を「惹かれ合っている」とするんでしょう? 題名にもなっている重要な言葉、文ですから、この”意訳”はわかりません。人の名前を間違って呼んでいるような、僕はなにかそんな気分になります。

Tomorrow was made for someというのは「明日は(私たちにではなく)他の人のためにある」と直訳で解せますけど、「明日は他の人と過ごすのかもしれない」と訳されてます。これはきっとこの歌手自身が、「愛し合っていても明日は他の人と過ごすかもしれない」とこんな考えで生きているんではないですか。愛する人と別れて一生独身で死んでいく人もいますね。誰もが明日は他の人と過ごすわけではないです。意訳と言っても書いてないことを書くことはできないです。しかし「他の人と過ごす」なんてどこにも書いてない、こんな最低の訳がでてくるのはもう恐ろしいですね。この人はこの名曲中の名曲に泥とウンコをぬりたくって汚い最低のエロ唄にまで貶めてくれたと言えるでしょう。

つづきはJazz-Lyrics.comで読んでください。

81

音楽書の出版について!

村尾陸男から出版についての近況報告です。

このあいだキャリフォルニアの音楽出版社のHPを覗いてましたら、1ペイジ全面に大きく楽譜類のコピーは違法だと訴えていました。以前僕が数冊そこの本を翻訳して出版しましたし、リアルブックなど大々的に出している大きな会社です。もう一つ東部の音楽書も出していた教育関係の老舗の会社に必要があって問い合わせたところ、もうなくなっていてなにか商業関係のまったく知らない会社に買収され、そこに連絡すると社員が本の内容が理解できていず、わけの分からない返事が返ってきてもうあきらめました。出版社はどこもかしこも全滅状態です。

うちに出演するミュージシャンと話していたら、彼はノウトPCにリアルブックなど百冊ぐらい入っていると自慢げに言い、ほとんどどんな曲でも瞬時に楽譜が取り出せると言ってました。一時期プロの演奏家用に1001とかその他正式な出版物でないものが出回っていたことがありますけど、もう今はプロもアマもなくしかも写真ファイルかなにかでタダで一瞬に取りこめてしまいます。これでは出版社が潰れるのはやむを得ないですね。

それでキンドルとかいうファイルのみの本が出てきました。今年春ごろにデイヴィド・ラクスィンDavid Raksinという作編曲家の自伝のキンドル版を買って読んでいて、部厚いのでやっと先週読み終わりました。その自伝は出版物としてはもう品切れで、売れないので再版の可能性はなく、キンドルで読むしかないんですが、それでもありがたいことでした。それからファイルで売ることもなく、幻の名著と言われるものはたとえばグーグルブックスとか言われる頁にアップされていていつでも読めるなんていうサーヴィスもあります。これもありがたいです。もうほかに手に入れる方法がないとすれば、こういう方法で読めるのはありがたいですね。

僕自身も改訂版や新版を出すことがほぼできなくなり、ネット出版に頼るようになりました。このラクスィンの自伝やグーグルブックスで読むことのできた昔の音楽書などから「アメリカ文化とポピュラー音楽」という僕の新著が生れました。本で出版すれば2000円を下ることはないでしょうが、725円という安さです。ほかにも新著やジャズ詩大全の改訂版を次々と出してきています。まあ宣伝はさておき、ここで僕の言いたいことは、ネット化で被る大きな弊害とその便利さについてです。弊害も大きいです。人の悪口など嘘も交えて大々的にアップできます。その分人間がどんどんイカれてきています。

こんなこと言い始めたらきりがなく、この話しは終わりませんね。最後に一つだけお知らせしましょう。Jazz-Lyrics.comでコウル・ポーターの [You’d Be So Nice to Come Home To] の解釈を大幅に更新しました。「帰ってくれたら嬉しいわ」という誤訳から始まって、この曲の解釈はグチャグチャになってきました。ネットにはこの曲の訳と称するものが氾濫しています。しかしどれも似たりよったりの愚劣なものばかりで、玉石混交ではなく泥石混交です。以下にその紹介文を入れました。

[You’d be so nice to come home to]の改訂版上梓。ぜひ皆さん読んで下さい。

 

ジャズ詩大全電子版に新原稿と改訂新版

新原稿と改訂新版

Jazz-Lyrics.comのジャズ詩大全電子版には、順次新しい項目が追加されていますし、新原稿や改訂原稿がアップされています、どうぞ覗いてみてください。研究–バート・バカラック、ハロルド・アーレン、ジョニー・マーサー、ジュール・スタインなど新しい原稿がアップされています。日本ではほかにないほど、内容が重厚で正確ですから、参考にされる方には、代えがたいほどのものです。

ジャズ詩大全電子版に寄せて

《ジャズ詩大全》シリーズは1990年から出し始め、本巻20、別巻2、計22巻となり、ほぼ完結しました。索引集をあと一冊出す予定ですが、出版の困難な状況もあり、それで終わりとなりそうです。そこで2012年6月に横浜・関内のジャズクラブ・ファーラウトの下にジャズ・スクール「教室ファーラウト」が開校したのを機に、スクールの活動の一環として《ジャズ詩大全電子版》の販売を開始することにしました。あの大英百科事典Encyclopaedia Britanica が印刷版を廃止しCD版に切り替えたのはたしか2000年ごろでしたか、世は重くて分厚くて手間とお金のかかる出版物をなくして、CD版に切り替えるべく動いてきました。そしてさらに最近ではそのCD版もなくしてダウンロード販売に切り替えるところも増えてきています。朝日新聞、Wall Street Journal、科学雑誌Newtonなど、こぞってそういう方向に変化してきています。この《ジャズ詩大全電子版》は、利用者が自分の好みの曲の楽譜だけ選んで買うことができるだけでなく、本を買いに行く手間とお金はおろか、図書館に行ってコピーする交通費、コピー代、時間を考えたら、おそらくそれよりも安くつくほど、読者、愛好家にとって手軽で便利なサイトになるでしょう。
もちろんそれだけでなく電子版では、出版物と違って新しい内容のものの販売も簡単なら、掲載済みのものの更新も容易で、そういう良さを存分にいかさなければなりません。つまり出版物の《ジャズ詩大全》は終了しても、電子版はある意味でそれを存続発展させていくことができる特質をもっていると思います。そしてそれ以外にもまだ多くの可能性が残されていそうです。その可能性を模索し考え組み立てるのは大きな仕事ですが、それをやらなければこれを立ち上げる意味も半減してしまいます。インターネットのサイトがいい加減なジャズ・スタンダード曲の訳を載せている例は、枚挙にいとまがありません。最近では減るどころか増えてきているようにも思えます。《ジャズ詩大全電子版》は可能性の輪を拡げていくだけでなく、こういう迷妄に陥ることなく、心して全体を組み立てていこうと考えています。皆さんの積極的なご利用を願うとともに、ご意見、感想なども反映させながら、さらに充実したものに作っていきたいと私は考えています。どうぞ《ジャズ詩大全電子版》をよろしくお願いします。
ジャズ詩大全著者
ジャズクラブ・ファーラウト
並びに教室ファーラウト代表
村尾陸男

ファーラウトにシードマイヤーが入りました。

ファーラウトに12月25日にSchiedmayer シードマイヤーというグランドピアノが入りました。これからドラムレスでトリオ以下の小編成演奏にこのピアノを使っていきます。どうぞシードマイヤーをよろしくお願いします。

88鍵、サイズは奥行き194×幅148.5×高さ100(cm)です。コンサートグランドよりかなり小さく、今では家庭用サイズになりますか。でも100年も前のこれが作られた時代には、多分もっとも大きいピアノの一つに数えられたことでしょう。シードマイヤーはドイツの会社で、これは1907年製のピアノですが、この会社はもうピアノから手を引いていて、チェレスタを作る会社としては現在も存続しているようです。いずれにしろ20世紀初めのこのピアノには現在のその会社はあまり関係なさそうです。

pn23買った時に1907年製と言われましたが、1907年製という表記はどこにも見あたりません。シードマイヤーという会社は、1735年に Balthasar Schiedmayer が最初のクラヴィコードを製作して始まり、1809年に3代目のJohann Lerenz Schiedmayer がシュトゥットガルトにピアノ会社を創業しています。1735年設立ということはこのピアノの響板の中心部にドイツ語の焼き印で書かれています。その後Johann Lerenz の二人の息子Juliusと Paulが1853年にJ&P Schiedmayerという会社を作り、しばらくは二つのシードマイヤーがあったそうですが、1969年に両者は合併したそうです。スタインヴェグ(匕)とスタインウェイのように、ピアノ製作者たちは親戚家族が移住して別会社を作ったりしますから、こういうことは往々にして起きます。

スタインヴェグもベーゼンドルファーも1830年代に創業していますから、19世紀半ばの時点ではシードマイヤーは先輩格にあたり、両社ともこの会社のピアノを模範としていたのではないでしょうか。スタインヴェグから別れてアメリカでスタインウェイがピアノを作り始めるのはやっと19世紀末です。

pnn14このピアノは、響板のプリントに J&P Schiedmayerと書いてありますから、4代目の二人Juliusと Paulの方の会社の製品で、そこには「シードマイヤー家は6世代続いている」とも書いてあります。シリアルナンバーは見えるところにはなく、鍵盤の蓋枠を取りはずすと内側に書いてあり、34130とありました。オランダとイギリスのインターネット・サイトにシードマイヤーのシリアルナンバーが表示されていて、多分イギリス版の方が J&P Schiedmayerのピアノのシリアルナンバーではないかと思われます。

そこには次のようにありました。

1891-1900 22401-31000 (8600台)
1900-1910 31001-43000 (12000台)
1911-1920 43001-51800 (8800台)

1890年代は、それまでの時代に較べて、ピアノの生産が俄然多くなっていきます。1900年代は主にアメリカでとても多く売れるようになり、J&P Schiedmayerもアメリカに支店をもっていたので、それが結果に出ていると思います。また10年代はアメリカではグンと伸びて大量に売れていますが、ドイツでは第一次世界大戦のため生産がガクンと落ちていることが伺われます。この数字が正しければ、34130は1901年から1910年の間の半ばの製品にあたり、とくにこの10年は後半に多く作られたようで、ならば1907年製で合っているように思います。1735年から6世代ということは1世代25-30年とするとちょうど1900年ごろにあたり、1907年製でほぼ間違いないと思います。

ピアノは最初は中の枠が木でしたが、19世紀末から鋳物が発明されて使われるようになり、現在のピアノのかたちができました。このころ20世紀初めのピアノにはいいものが多いと私は思います。1920年製のドイツのスタインヴェグもあるところで弾いたことがありますが、とてもいいものに感じました。シードマイヤーのピアノは「音色が甘く低音がしっかりしていて、とても整っている」とイギリスのインターネット・サイトで評されていましたが、私もこのピアノは音が非常に良くきらびやかだと思いますし、また不思議によく鳴ります。鍵盤はとても軽く、私は一時期鉛を入れて弾いていましたが、その鉛は現在ははずしてあります。しかしそのほかに20年くらい前に業者が入れたと思われる鉛も入っていて、それはそのままはずしていません。

写真からはわかりませんが、白鍵のプラスチック(元は当然象牙だったと思われます)は、多分20世紀中頃にその時代のものに交換されたようです。黒鍵は黒檀で、最初のものそのままで変えられていないようです。それから弦は当然交換されていると思います(もしかしたら数回)。またハンマーやダンパーなどの尖端部分も交換されていますが、ほかのメカニズムはそのままのようです。鋳物の枠は20世紀中頃か後半ぐらいに金色に塗られたようです。本体ボディなどは、機械ではなくカンナで削った痕跡が側面などに見られ、20世紀初めの製品の古さが見てとれます。全体に古いに違いないですが、痛みはそれほどひどくなく、長い間使われないで倉庫かどこかで眠っていたのかもしれません。

pn22ヴァイオリンなどの木の楽器は200年ほど木の内部の組織が締まりつづけると言われ、だんだんいい音になっていくところがあり、この楽器もあと100年くらいは質を高めていくのではないか(あるいは少なくともそれほど悪化していかない)と思われます。

私はこのピアノが大好きで、じつは最初に弾いた瞬間に買うことを決めました。まさに名器だと思います。しかし響板(弦の下に張ってある大きな板)はヒビが入っています。とはいえ音には問題なく、私はそのまま修理せずに使っていました。またピアノ会社や技術者の人にも言われましたが、修理しても反対に鳴らなくなってしまう可能性もあるそうで、修理はしないほうがいいようです。また見た目にもそのヒビは見えないくらいで、ひどい乾燥の時だけ見えてくるような状態です。太陽が光を放っているような譜面台は一枚の板を彫って作ってあって、これほど手間のかかる仕事を今やったら、すごい値段がつくでしょう。

毎月1日か2日僕は弾き語りソロをこれでやっています。まさに銘器にふさわしい音で、聴いている人たちもいつも感激してくれます。どうぞ皆さん折を見ていらっしゃって、このピアノを聴いてみてくださいな。またドラムなしの小編成ならこのピアノが使えますから、歌手の方も利用可能です。このピアノで歌に新しい息吹がそよいでくるかもしれませんね。ファーラウトに新しい楽しみが増えました。

よろしくお願いします。村尾陸男